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画期的な装置「マルチル−プワイヤ−」

MK方式の矯正治療で、もうひとつ特徴的なのが「マルチル−プワイヤ−」を使用していることです。これは正式には「マルチル−プエッジワイズア−チワイヤ−(MEAW)」と呼ばれ、ボストン大学のヤング・キム博士が開発したものです。

 

前章で紹介した佐藤教授の言葉にも出てきますが、不正咬合の真因を理論的に突きとめた佐藤先生が、実際にそれを治療するのにどうすればいいか悩んでいたときに出会ったのが、このMEAWでした。1985年に初めてキム博士の講義を聞いたとき、佐藤先生は「これだ!」と心のなかで叫んだそうです。その6年後に佐藤先生の講義を聞いた私自身が、まったく同じ経験をしたことはすでにお話したとおりです。

 

私にとってはそういう運命的な出会いのきっかけになったMEAWですが、クリニックを訪れる子供の患者さんに、難しい学術名で説明するわけにいきません。そこで、お子さんにも分かりやすいように、私はこのマルチル−プを「ラ−メンワイヤ−」と呼んで説明しています。

 

というのも、このマルチル−プは、ワイヤ−に1本の歯ごとにL字型のル−プがついた装置なのですが、そのL字型が、ラ−メン屋さんのドンブリによくついている模様(双喜模様)に似ているからです。ラ−メンワイヤ−などと呼んでは、苦心のすえに開発されたキム博士には失礼かもしれませんが、これは通常のまっすぐなワイヤ−とは異なる非常に優れた器具なのです。
普通のワイヤ−は、歯を横に引く力しかかりませんが、マルチル−プは横に引く力と同時に、押しくらまんじゅうによって傾いている歯をまっすぐに戻すための斜め上への力もかかるのです。

 

押しくらまんじゅうによる不正咬合は、歯そのものが前に動くのではなく、奥歯によって斜め前に倒されるように傾いていきます。ですからマルチル−プは、普通のワイヤ−のように横にだけ引っ張るのではなく、倒れている歯をまっすぐに自然な位置に戻すことができるわけです。

 

歯のかみ合わせ面は、歯が垂直になったときにしっかり噛むような形になっています。これが傾いていると、かみ合わせ面が小さくなり、歯への負担が大きくなって歯が傷むことになります。また、上下の歯全体のかみ合わせが狂ってくる原因にもなってしまうのです。さらには、歯やかみ合わせだけでなく、歯が傾いてくると歯ぐきや顎の骨にも負担がかかり、当然ながら傷みやすく、歯肉炎などを引き起こす原因にもなります。

 

マルチル−プによって歯の傾きを治すのは、こうしたいくつものトラブルを予防するためにも有効なのです。

 

なお、ワイヤ−に力をかければ、理論的にはどんな症状でもほとんど3カ月もあれば矯正できることになります。歯や歯ぐきの健康を考えるのでなけれな、そのような短期間の矯正治療もたしかに可能です。

 

しかし、急激に歯を動かすことによって、歯のつけ根にあたる根尖という部分で神経の痛みが出たり、顎の骨と歯がきっちりと固定されないで歯がぐらついてしまうなど、健康面のリスクがとても大きくなります。

 

とくに大人の場合は、頭蓋骨全体にひずみがあり、さらに長期にわたってくずれていることもあり、ある程度の期間をかけて治療するほうがよいといえるでしょう。MK方式でも、できるかぎり強い痛みを与えず、健康で丈夫な歯を維持するため、時にはあえて時間をかけて歯を正しい位置に戻す治療方針をとっています。

 

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