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なぜ「便宜抜去」が主流になっのか

抜歯派が主流になった背景には、さまざまな理由が考えられます。まず、アングル博士非抜歯論を提唱した当時は、矯正歯科の需要も少なく、抜歯論争がおきたとき、アメリカの矯正歯科学会の会員はわずか84人だったという記録があります。

 

時代が進むにつれ、美容目的の矯正治療を受ける人たちが飛躍的に増えてきました。美容目的とは、いいかえれば前歯を見た目にきれいな歯並びにすることです。それには、ケ−ス博士が主張した第一小臼歯を抜いて行なう方法が適していました。抜いてスペ−スをつくるのですから、簡単なうえに劇的に変化するわけです。

 

 

欧米人は前歯の状態を非常に気にする傾向があります。人目につく前歯がきれいに並んでいることが、紳士淑女の条件のように受け取られていますから、そういう歯並びに治すためには、奥のほう(小臼歯)の歯を抜くことにもあまり抵抗感がありません。麻酔をはじめとした抜歯技術の進歩も、抜歯矯正の勢いに拍車をかけたといえるでしょう。

 

こういう要因に加え、というより最も大きな理由は、抜歯派が台頭した当時は、口腔についての研究があまり行なわれていなかったことでしょう。歯は顎の骨に生えていますが、歯だけでなく、顎の骨や顎関節、舌などをふくんだ口の中(口腔)と全身との関係を研究するのが「口腔学」ですが、これが未発達だったわけです。非抜歯派にしても、そういう科学的な観点はまだもっていませんでした。

 

ですから、歯の一本一本の役割もそれほど明確ではなく、まして存在感が薄いと思われていた小臼歯については、ほとんど役割がわかっていなかったといってもいいくらいです。そういう状況が抜歯派を優位にし、小臼歯が慣例的に抜かれるようになったのです。

 

先にも述べたように、矯正治療で小臼歯を抜くことを「便宜抜去」と呼んでいます。その名称自体からもわかるように、小臼歯を抜く積極的な理由はなく、ただ矯正治療上、間に合わせ的に便利だからということにすぎないのです。

 

こうして便宜抜去による矯正がアメリカを中心に広まっていったわけです。しかし、やがて小臼歯の役割を研究し、便宜抜去法に異をとなえる声がヨ−ロッパの一角からあがってきたのです。

 

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